自然発生したニックネームはブランド化する

岡山県出身の新鋭プロゴルファー、渋野日向子プロが今年の女子メジャー、全英オープンで優勝してしまいました。

弱冠二十歳。プロテストに昨年合格したばかりの新人が、国内ツアーで2勝するだけでもスゴイこと。それがいきなりメジャー優勝の快挙。日本中が大騒ぎでしたね。

渋野日向子選手のシンボルはなんといってもあの笑顔。全英オープン優勝のニュースの中で、米国の新聞が「スマイリング シンデレラ」と称したという話題が取り上げられ、日本でも「スマイル・シンデレラ」が彼女の代名詞になりました。あるメディアが言ったり書いたりした事実をその他のメディアが取り上げて、自然発生的に一般の人たちにも広がっていった事例では、石川遼選手がアマチュアで初優勝したとき、地元局のTアナウンサーが実況した「ハニカミ王子」を思い出しました。

これから先、しばらくは日本の女子プロゴルフ界を渋野日向子さんが「シンデレラ・スマイル」で引っ張っていくことになるんでしょう。岡山県出身の自分としても、同郷のスターがまた一人誕生したことが嬉しくてなりません。

おりしも今、甲子園では夏の高校野球が開催されていますが、高校野球界でも全国的に有名なニックネームが付けられたチームがあります。四国・徳島県の池田高校がそれ。

「さわやかイレブン」「やまびこ打線」「攻めダルマ」。ピンとくる方が多いと思いますが、「さわやかイレブン」は1974年に初出場で準優勝したときに、部員が全部で11人しかいなかったことで付けられたもの。「やまびこ打線」は、送りバントを使わず打って打って打ちまくる、破壊力抜群の打線を称したもの。そして「攻めダルマ」はチームを率いる闘将、蔦文也監督の攻撃野球に対してつけられた愛称です。これらは、実況中継の中でアナウンサーが叫んだり、翌日のスポーツ新聞の見出しになったりして、そのあとの試合からは実況中継の中でも連呼されるようになったニックネームですね。

チームとして代名詞が付いた学校が他にあったかなと思い返してみましたが、銚子商業の「くろしお打線」ぐらいしか思い浮かびませんでした。また選手個人としては「バンビ」と言われた東邦高校の坂本佳一投手や「ハンカチ王子」と呼ばれた早稲田実業の斎藤佑樹投手などの例がありますが、それほど多くはありません。

ほかには、プロ野球の「打撃の神様」「ミスター」「大魔神」「ゴジラ」。サッカーでは「キング」「野人」など、ジャンプの「レジェンド」、男子ゴルフの「ジャンボ」、古いところでは「東洋の魔女」や「フジヤマのトビウオ」なども(笑)。とにかく、こうした愛称は簡単に廃れないし、普遍的に使われてそれを識別する記号になる。もちろん、超一流のアスリートだからこそ愛称が付くわけですが、同じ超一流でも、愛称を持たない人やチームが大多数であることを考えると、ニックネームというのは、そのブランド価値を何倍も高める効果があると言えるでしょう(悪意のある“あだ名”の場合は別ですよ)。

ニックネームは、自然発生的だからこそ強く印象に残り、付加価値が生まれる。企業や商品の場合も、人から親しまれてニックネームで呼ばれるようになれば、ブランドが長く続いていくと思います。あまり正式名称にこだわらず、呼ばれやすい名前を定着させていくほうが長い目で見ると得になるのではないでしょうか。

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